内なる子ども 10
インナーチャイルドの癒しと解放
『インナーチャイルド・セラピー』の注意点
◆ 感情の出し入れの激しい作業
このセラピーは、ひじょうに感情の出し入れが激しい作業を伴います。エネルギーを使う作業でもあるので、
そのときどき、作業を終えたときの疲労も大きいと思います。ゆっくりと休養する時間をとる配慮も必要です。
◆ 慌てずに自分を信じて進める
インナーチャイルド・セラピーの途中では、これまでずっと抑圧してきた過去の倉庫から、様々な記憶や感情が引き出されます。
徐々にそのときに感じていた思いがよみがえり、その放出と癒しがゆっくりと進んでいく場合もあれば、過去の記憶と感情が急激に飛び出し、その激変にショックを受ける場合もあります。
そのペースは人によって様々ですが、急激な体験をしたセラピー後に、一時的に落ち込んで鬱状態になったり、逆にテンションが上がり過ぎたりすることもあります。
セルフセラピーの場合には、こういった場合もあることを知った上であくまでも自分を信じ、慌てずに進めていってください。また、途中で難しいと判断したときには、信頼できる人やカウンセラーの援助を求めてください。
◆ 家族を責めたり恨んだりしないために
セラピーの過程では、家族や他の誰かを責める気持ちが湧き、その怒りを吐き出す『嘆きの作業』があります。そのときには、どんなに気持ちをぶつけても罵っても構いません。
同時に、本当は大切な家族を責める気持ちに罪悪感を感じるかもしれません。しかしその怒りはインナーチャイルドにとって必要な当然の課程なのです。
これは、抑えてきた感情を吐露することが重要であって、家族を責めることが目的ではありません。
後々、実際の親や家族を責めたり恨んだりしないために『今、ここ』でしっかり『嘆く』作業を果たすことに大きな意味があるのです。
やがて親に対しては、さらに親の育った家庭環境ゆえの世代間連鎖によって、そうならざるを得なかったのだと、理解し受け入れることができるようになるでしょう。
それこそが、不要な「しばり」や「信念」から完全に解放され、真に心の自立を果たした証なのです。
◆ 『癒し』は自分に対する責任
記憶の再現や気持ちの吐露の作業は、苦しい思いをする場合も多いでしょう。それだけ子ども時代から様々な防衛規制を使って、自分の心をとことん抑えてきたために、今の苦しみがあるのです。
セラピーによって「今、ここ」で、子どもの頃に閉じ込めた心の封印を解き、ありのままの自分を解放する決断をするのは、本人の意思と力です。
「これまでのしばりによる運命にこのまま従うのか」「今、ここで新しい運命を切り開くのか」その決断のための苦しさは、未来を自分の手に取り戻すための通過点として、希望を持ってしっかりと乗り越えてください。
癒しの作業が進むにつれて、『私は愛される価値のある人間なのだ』という気持ちが芽生えてきたとき、周囲の人たちの自分への振る舞いが変わっていくことを実感します。
◆ インナーチャイルド・セラピーを受けてはいけない方
以下の症状のある方は、インナーチャイルド・セラピーは向いておりません。
・自傷行為や自殺企図、リストカッティング等の
自己破壊的衝動のある方
・他罰的・他責的傾向があり、しばしば他者
(身近な家族など)に対し激しい怒りを感じ、
その爆発を制御できない方
・不安定な人間関係により、感情の制御に困難
をきたす方
セラピーの作業により、自己の責任を免除させ、家族への攻撃や恨みのみを促進してしまう可能性があります。症状により日常生活に支障をきたしている場合には、心療内科や精神科への受診をお勧め致します。
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